スマートフォン(高機能携帯電話)やタブレット端末を対象にしたIT(情報技術)サービスが相次ぎ登場しています。
個人利用だけでなく、企業でも新たな社内システム端末として活用される場面が増え、携帯電話やパソコンからモバイル端末の主役の座を奪いつつあります。
東日本大震災を機に自宅や社外からでも業務をこなせる「働き方革命」を求める声が高まるなか、IT各社は独自技術で利便性と安全性を高め商機拡大を狙っています。
各社がスマートフォン向けの製品やサービスを相次ぎ市場に投入している背景には、急速な普及があります。
調査会社のMM総研によると、2010年度にスマートフォンは携帯電話の出荷台数のうち18.1%を占めました。
11年度以降はさらに普及が進み、15年には台数比率で63.1%にまで高まると同社は予測します。IT各社の相次ぐサービス投入は、こうした市場拡大の勢いを織り込んでのことなのです。
スマートフォン向けソフトの市場も急拡大しています。調査会社の米ガートナーは、11年に全世界のスマートフォン向けソフト市場が前年比190%増の151億ドルに急拡大すると予測。14年には10年比で1000%の規模になると予想しています。
とはいえ、スマートフォン特有の問題もあります。ノートパソコンなど従来の情報機器に比べ、スマートフォンは紛失や盗難に遭う危険性が高いのです。端末に情報が保存されていなくても、企業内システムの入り口としてスマートフォンが使われていれば、情報漏洩につながる恐れがあります。まだ被害件数は少ないが、スマートフォンを狙ったコンピューターウイルスも検出されています。
地震や津波など天災は予期せず襲ってきますが、会社の業務は止められません。社員がどこにいても業務を遂行できるようにするのは経営者の役目でもあります。スマートフォン向けの各種サービスが充実することで、外部環境に大きな変化が起きても業務に支障をきたさない柔軟で強じんな組織の構築にも役立つことでしょう。