NTTドコモ、
KDDIが相次いで春商戦向けのスマートフォンとタブレット端末を発表しました。
両社に共通するキーワードはずばり「グローバル」です。
NTTドコモは、NECカシオモバイルコミュニケーションズの「
MEDIAS」、ソニー・エリクソンの「
Xperia arc」、韓国LG電子の「
Optimus Pad」を発表。対する
KDDIは台湾HTCの「
EVO WiMAX」と米モトローラ・モビリティの「
XOOM」を発売。NECカシオの端末以外はどれも、世界市場向けのグローバルモデルを調達しました。
今回の新製品は、日本のスマートフォン、タブレット端末市場にとって大きな節目と捉えることができます。
NTTドコモや
KDDIはこれまで、スマートフォンにも日本市場特有のニーズを取り入れようとする傾向が強く、OSのアンドロイドにも手を入れて、携帯電話会社の独自仕様を反映させてきました。
しかし、今回の新製品発表には、グローバル仕様を進んで取り込もうという意気込みが感じられます。
LG電子のOptimus Padは、モデム代わりにパソコンなどをインターネットに接続する「テザリング機能」を備えます。
NTTドコモの料金体系では認められない機能ですが、「アンドロイドの最新バージョン3.0(HoneyComb)をいち早く日本に導入したかったため、OSに手を加えてテザリング機能を外すことはしなかった」(NTTドコモ関係者)といいます。
このため、Optimus Padのパケット料金の上限5985円を支払えば、パソコンをつないでいくらネット接続しても、追加のパケット料金を請求されません。
タブレット端末とノートパソコンを一緒に持ち歩く人はあまり多くないかもしれませんが、NTTドコモが公式にテザリングを解禁したことは大きな意味を持ちます。
KDDIもグローバル仕様を採用するため、思い切った決断をしました。
EVO WiMAXは、KDDIが使っている3Gの周波数帯のうち新800MHzと2GHzだけに対応しています。
800MHz帯は現在、周波数の再編途上にあり12年中ごろまでは旧800MHzも使用しているが、これには接続できません。
日本の携帯電話会社としては異例ですが、
KDDIの増田和彦コンシューマ事業本部サービス・プロダクト企画本部長は「通常利用なら特に問題はないだろう。心配するレベルではない」と語ります。
田中社長も「新800MHz帯のネットワークを急ピッチで改善している。数カ月で完了する」としており、海外で多く使われる新800MHz帯のエリア拡充を急ぐことで、グローバルモデルの調達をさらに加速させようとしています。
KDDIがグローバルモデル導入にあたってもう1つ準備したのが、契約者情報を記録するSIMカードを使わずに端末に直接書き込む仕組みです。
KDDIの通信方式であるCDMA2000方式の端末は必ずしもSIMカードを採用する必要がありません。
実際、同じCDMA2000方式の米ベライゾン・ワイヤレスとスプリントは、どちらもSIMカードを使っていません。
EVO WiMAXに先駆けてスプリントが発売した姉妹機の「EVO 4G」もSIMカードがない仕様です。
そこで
KDDIは、EVO WiMAXの発売に合わせて端末に契約情報を書き込めるようシステムを変更しました。
「グローバルモデルが使える新800MHz帯ネットワーク」「SIMカードがなくても端末に契約者情報を書き込める仕組み」――。この2つの条件は何を意味するか?
それは2月11日に米国でベライゾンが発売したCDMA2000版「iPhone4」を日本で受け入れる準備ができているということです。
ベライゾンのCDMA2000版iPhoneは、日本に持ち込むと
KDDIの新800MHz帯周波数をキャッチします。
ベライゾンから発売されているため、SIMカードは当然ありません。
田中社長はiPhoneについて「ノーコメント」を貫いているが、KDDI版iPhoneの登場は、着実に現実味を帯びてきているのです。